Sync クライアント
MOVEit Sync は、ローカルフォルダー内のファイルのセットを MOVEit Transfer が管理しているファイルのセットと同期する Windows アプリケーションです。ユーザーは、任意のフォルダーをローカル同期フォルダーとして設定できます。ローカル同期フォルダーでは、追加、編集、削除、名前変更、コピー、移動など、一般的な Windows ファイル操作がサポートされています。ローカルフォルダーと同期するには、ユーザーに MOVEit Transfer フォルダーへのアクセス許可が必要です (同期フォルダーとアクセス許可の設定については、以下の「注」を参照してください)。定期的なファイル同期プロセスを実行することで、同じファイルコンテンツが含まれるようフォルダーが更新されます。
MOVEit Sync は、エンドユーザーに以下の機能を提供するように設定できます。
ローカルコンピュータ上のフォルダーを、MOVEit ホームフォルダーまたは MOVEit サーバー上の別の個人フォルダーと同期する。このようにして、MOVEit フォルダーをローカルファイルのバックアップフォルダーとして使用することもできます。 ローカルコンピュータ上のフォルダーを MOVEit サーバー上の共有 (グループ) フォルダーと同期する。この設定では、ユーザーはワークグループとファイルを共有できます。 要件
Sync クライアントの要件は以下のとおりです。
注: 他の MOVEit クライアントと同様に、Sync では英語、ドイツ語、フランス語、およびスペイン語のバージョンがサポートされています。
クライアントのインストールと展開
Sync クライアントは、以下の 2 つの方法で登録済みユーザーに展開できます。
ユーザーのコンピュータで Client Installer プログラムを実行する。 サイレントインストールとグループポリシーを使用して、複数のコンピュータにクライアントをインストールする。 注: Sync クライアント用に追加のライセンスは必要ありません。
Client Installer とドキュメントのダウンロード
Client Installer は、MOVEit Transfer コミュニティポータル からダウンロードできます。
MOVEit Transfer を使用するためのクライアントの設定
サイレントインストールまたは標準インストールの後に、サーバーがまだ設定されていない場合は、[MOVEit Connector] (システムトレイ) > [Configuration (設定)] > [MOVEit Sync] ダイアログで MOVEit Transfer に接続するために必要な設定を行います。これらの設定は、Sync のヘルプでエンドユーザー向けに説明されています。
ユーザーが標準インストール中にサーバーを設定した場合、またはアップグレード後にデータストアが維持されている場合、この情報は既に入力されています。
同期フォルダーとアクセス許可の設定
フォルダー設定は、[MOVEit Connector] (システムトレイ) > [Configuration (設定)] > [MOVEit Sync] > [Sync options (Sync オプション)] ダイアログで設定します。これらの設定は、Sync のヘルプでエンドユーザー向けに説明されています。
[Local Sync folder (ローカル同期フォルダー)] 。これは、ユーザーのローカルシステム上の任意のフォルダー (C:\Documents\Sync
など) に設定できます。同期フォルダーに配置されたファイルやサブフォルダーは、リモート同期フォルダーと同期されます。 [Remote Sync folder (リモート同期フォルダー)] 。これは、MOVEit サーバー上のフォルダー (ユーザーのホームフォルダー (通常は home\username
) や共有グループフォルダーなど) です。リモートフォルダーに配置されたファイルやサブフォルダーは、ローカル同期フォルダーと同期されます。リモート同期フォルダーを設定するときは、MOVEit フォルダーを参照して選択できます。注: Sync の機能には 2 つの制限があります。同期フォルダー内の合計ファイルサイズは 1 GB 未満、合計ファイル数は 100 個以下でなければなりません。
リモート同期フォルダーでは、[Allow File Overwrite (ファイルの上書きを許可する)] 設定が [No (いいえ)] に設定されている必要があります。これは MOVEit フォルダーのデフォルト設定です。Sync では、この設定が [No (いいえ)] であっても、同期フォルダー内のファイルが上書きされます。
このトピックの初めに説明したさまざまな Sync ユーザーのシナリオは、MOVEit フォルダーとそのサブフォルダーへのアクセス許可とアクセス設定を指定することによって実施されます。
ユーザーが特定のファイルをバックアップするために、ローカルフォルダーと MOVEit フォルダーを同期する場合は、その MOVEit フォルダーに対するリスト、読み取り、書き込み、削除、サブというすべてのアクセス許可を付与する必要があります。
MOVEit に共有リモート同期フォルダー を設定する場合は、ユーザーごとに個別の非共有同期フォルダーを作成し、そのユーザーフォルダー内に、共有フォルダーを指す仮想サブフォルダーを設定することをお勧めします。この場合、Sync ユーザーが仮想フォルダーを削除しても、基になっている実際のフォルダーは削除されません。また、サブフォルダーをローカルで追加しても、他のユーザーに追加のアクセス許可は付与されません。
注: MOVEit でサブフォルダーを作成すると、デフォルト動作では、そのサブフォルダーは親フォルダーのアクセス許可を継承します。Sync クライアントのユーザーがフォルダー名を変更したり、フォルダーを移動したりすると、Sync によって新しい場所への "追加" と古い場所からの "削除" が行われます。つまり、新しいフォルダーは親フォルダーからアクセス許可を継承するため、フォルダーに設定されたカスタムアクセス許可はすべて失われる場合があります。
ユーザーごとに異なるアクセス許可およびアクセス設定を行う場合は、設定を十分に検討する必要があります。すべてのユーザーの共有フォルダーから "サブ" アクセス許可を削除してください。ユーザーは、共有仮想サブフォルダーの削除と、新しいサブフォルダーの作成ができなくなります。
一部のユーザーに、最上位のフォルダーや特定のサブフォルダーに対するアクセスのみを許可することもできます。また、削除またはアップロードのアクセス許可を制限することもできます。例は以下のとおりです。
ユーザーまたはグループがサブフォルダーにアクセスできないようにするには: サブフォルダー (仮想フォルダー) のアクセス許可設定から、そのユーザーまたはグループのアクセス許可をすべて削除します。ユーザーまたはグループがサブフォルダーを削除できないようにするには: サブフォルダーの親フォルダーのアクセス許可設定から、そのユーザーまたはグループのサブアクセス許可を削除します。ユーザーまたはグループは、親フォルダー内のサブフォルダーを削除したり追加したりできなくなります。ユーザーまたはグループがサブフォルダーからファイルを削除できないようにするには: サブフォルダーのアクセス許可設定から、そのユーザーまたはグループの削除アクセス許可を削除します。ユーザーまたはグループがサブフォルダーにファイルをアップロードできないようにするには: サブフォルダーのアクセス許可設定から、そのユーザーまたはグループの書き込みアクセス許可を削除します。フォルダー設定およびユーザーアクセスに関する重要な注意事項については、以下の「Sync プロセスに関する注意事項と既知の問題 」を参照してください。
エラーメッセージ
Sync クライアントでは、以下のような問題に対してエラーメッセージが表示されます。
接続エラー: MOVEit サーバー名が間違っているか、MOVEit サーバーが使用できない場合に、接続エラーが表示されます。ユーザー認証情報が無効であるか、または正しく指定されていない場合に、接続エラーが表示されます。 MOVEit フォルダーに対するアクセス許可エラー: リスト、追加、削除などのファイル操作を実行するには、リモート同期フォルダー (MOVEit フォルダー) に対して適切なアクセス許可が設定されている必要があります。 アクセス許可の問題によって Sync がファイル操作を実行できない場合は、「User does not have permission (ユーザーにアクセス許可がありません) 」というエラーが表示され、データが失われないように Sync が無効になります。Sync を再度有効にするには、エラーの原因になったファイル操作を取り消す必要があります。たとえば、ユーザーがローカル同期フォルダーのサブフォルダーにファイルを追加したときに、そのフォルダーに対する書き込みアクセス許可がない場合は、書き込みアクセス許可エラーが表示されます。ユーザーがローカルフォルダーからファイルを削除しないと、エラーが再度発生します。エラーを修正したら、Sync を有効にできます ([MOVEit Connector] を右クリックし、[Enable Sync (Sync を有効にする)] をクリックします)。 「User does not have Delete permission (ユーザーに削除アクセス許可がありません) 」というエラーが表示された場合は、ローカル同期フォルダーで削除したファイルをリモート同期フォルダーで削除できないことを意味します。Sync クライアントによって、そのファイルがローカルフォルダーに復元されます。この場合、Sync を再度有効にする必要はありません。 MOVEit 管理者は MOVEit フォルダーに対するアクセス許可を変更できますが、Sync ユーザーがアクセス許可を変更することはできません。
Sync プロセスに関する注意事項と既知の問題
[Ignore deletes (削除を無視)] ([MOVEit Connector] (システムトレイ) > [Configuration (設定)] > [MOVEit Sync] > [Sync options (Sync オプション)] ダイアログ) が有効になっている場合、Sync プロセスの後、追加、名前変更、およびコピーの操作だけが反映されます。 [Ignore deletes (削除を無視)] が有効になっている場合、ローカルでの移動を行うと、実際には MOVEit フォルダー内の元の場所にコピーが残ります。そのため、同期フォルダー内でサブフォルダー A からサブフォルダー B にファイルを移動すると、ローカルシステムではサブフォルダー B にファイルがリストされますが、MOVEit フォルダーではサブフォルダー A にコピーが残ります。これはフォルダーの移動でも同じです。そのフォルダーのコピーが、MOVEit フォルダー内の元の場所に残ります。移動したフォルダー内のファイルも残ります。[Ignore deletes (削除を無視)] が有効になっている場合、リモートでの移動を行うと、ローカルフォルダー内の元の場所にコピーが残りません。そのため、MOVEit フォルダー内でサブフォルダー A からサブフォルダー B にファイルを移動すると、MOVEit フォルダーではサブフォルダー B にファイルがリストされ、ローカル同期フォルダーも同様に変更されます。フォルダーを移動すると、ローカル同期フォルダーではそのフォルダーのコピーが元の場所に残りますが、移動したフォルダー内のファイルはすべて元の場所から削除されます。[Ignore deletes (削除を無視)] が有効になっている場合、ローカル同期フォルダーに新しいフォルダーを作成すると、リモート同期フォルダーにその新しいフォルダーが作成されるときに、"New Folder (新しいフォルダー)" という名前のフォルダーが 2 つ作成される場合があります。この空の新しいフォルダーは削除できます。複数のユーザーが同じ名前のファイルを同時に (30 秒以内の比較的短い間隔で) 追加 (または変更) すると、競合が発生します。Sync クライアントは、最後に同期したファイルの名前を変更することによって競合を解決します。変更されたファイル名は、元のファイル名にそのユーザーの MOVEit ユーザー名を追加したものになります。 複数のユーザーが同じフォルダーを同時に移動すると、Sync クライアントは、最後の移動要求で指定された場所にフォルダーを移動することによって競合を解決します。それより前に指定された場所には、空のフォルダーが残る場合があります。このフォルダーは削除する必要があります。 リモート同期フォルダーが仮想フォルダーである場合、またはリモート同期フォルダーに仮想フォルダーが含まれている場合、Administrator または FileAdmin ユーザーがリスト、読み取り、書き込み、およびサブのアクセス許可を持っている標準的なフォルダー内にリモート同期フォルダーがあっても、そのようなリモート同期フォルダーと同期することはできません。MOVEit では、このタイプのユーザーに Admin アクセス許可が割り当てられます。ユーザーに仮想フォルダーに対する追加のアクセス許可を付与する方法はありません。 ユーザーがローカル同期フォルダー内のフォルダーの移動または名前変更を行うと、リモート同期フォルダーではそのフォルダーの元のアクセス許可が失われる場合があります。これは、フォルダーが元の場所から (または元の名前が) "削除" され、新しい場所に (または新しい名前が) "追加" されるためです。MOVEit フォルダーは親フォルダーからアクセス許可を継承するため、フォルダーのカスタム設定はすべて失われる場合があります。 複数のユーザーが同じマシンで Sync を使用すると、Sync をインストールしたユーザー以外のユーザーには、設定情報の入力後に「Cannot connect to the server (サーバーに接続できません)」というメッセージが表示される場合があります。これを修正するには、MOVEit Connector を閉じる (システムトレイにあるアイコンを右クリックし、[Exit (終了)] を選択する) 必要があります。次に、[Start (スタート)] メニューから MOVEit Connector を再起動し、アイコンをもう一度右クリックして [Reconnect (再接続)] を選択します。 まれに、次のような状況でデータが失われる可能性がありますが、これを防ぐことができます。 ユーザーが設定情報 (ローカル同期フォルダー、リモート同期フォルダー、ユーザー名、MOVEit サーバーの場所) を変更すると、"状態" 情報がクリアされます。次に同期が行われると、状態情報がないためファイルの競合が発生し、ローカルとリモートにある同じ名前のファイルが同じファイルかどうかを Sync が識別できなくなります。この問題を修正するには、[Disable Sync (Sync を無効にする)] に設定してから、ローカル同期コンテンツをすべて削除し、[Enable Sync (Sync を有効にする)] に設定して、リモートフォルダーと同期します。 デフォルトでは、リモート同期 (MOVEit) フォルダーの [Allow File Overwrite (ファイルの上書きを許可する)] 設定は [No (いいえ)] に設定されています。[Yes (はい)] に設定すると、前述のシナリオでは、複数のユーザーがファイルを追加 (または変更) して競合が発生した場合に、いずれかのファイルに対して行った変更が失われる可能性があります。[Allow File Overwrite (ファイルの上書きを許可する)] 設定は [No (いいえ)] のままにしてください。 Sync クライアントにはファイルのロック機能がありません。ファイルをロックすると、複数のユーザーが同じファイルを同時に編集するのを防ぐことができます。これは、ファイル編集アプリケーションで設定する必要があります。アプリケーションでファイルのロックを設定していない場合、複数のユーザーがファイルを開いていることを Sync が認識できないため、データが失われる可能性があります。