依存関係の概要

デフォルトでは、WhatsUp Gold は [デバイスリスト] のすべてのデバイスおよびアクティブモニタにポーリングを行いますが、他のデバイスのステータスに基づいて状態を推測できるデバイスのポーリングを行うために、不必要なオーバーヘッドが生じることがよくあります。依存関係機能は、デバイスのポーリングが行われない条件を作ることにより、このような場合のポーリングオーバーヘッドを削減します。この条件では、依存デバイスをポーリングするかどうかを依存関係のターゲットである別のデバイスの状態に基づいて判断します。ターゲットデバイスの状態は、1 つまたは複数のアクティブモニタの状態によって判断されます。これらのアクティブモニタの稼動または停止状態での依存関係を確立して、稼動に依存または停止に依存することができます。

稼動に依存

稼動に依存する場合、第 2 のデバイス上の選択されているアクティブモニタが稼動状態の場合のみに、デバイスのポーリングを行う条件を確立します。そのデバイスは依存関係があるデバイスの "背後" にあると考えることができ、"前" にあるデバイスが稼働中の場合のみにポーリングが行われます。

例

この例では、各デバイスに対してアクティブモニタが設定され、アクティブモニタは Ping (デバイス名) と示されています。依存関係がないと、スイッチがオフである場合または到達不能である場合であっても、WhatsUp Gold はホスト上の Ping モニタをポーリングしようとします。この状況により、ホストに依存関係を作ることによって回避できるはずのネットワークおよびシステムのオーバーヘッドが発生します。

[稼動に依存:スイッチ N (Ping モニタ)] と示されるように、ホストのポーリングは稼働中のスイッチ N 上の Ping モニタに依存するよう各ホストに稼動に依存を追加することにより、スイッチ N が停止するか [Ping (スイッチ N)] モニタが利用できない場合は、WhatsUp Gold はホストのポーリングを中止するという条件を作ります。これにより、依存ホストデバイスを監視するために必要なオーバーヘッドが削減され、スイッチ N のアクセシビリティに基づいてデバイスのアクセシビリティに関する情報が提供されます。

UpDependenciesExample

停止に依存

重要 APM プラグインを使用し、依存関係のある WhatsUp Gold デバイスを含む APM コンポーネントがある場合、APM コンポーネントは WhatsUp Gold の不明および保守状態のデバイスをどちらも不明状態と見なします。そのため、WhatsUp Gold デバイスが不明または保守状態に移行した場合、APM コンポーネントはその状態を不明状態に変更します。デバイス状態がそれぞれの APM コンポーネントのステータスから全体的な APM インスタンス状態へとロールアップされる詳細については、「APM コンポーネントのインスタンスの状態優先順位について」を参照してください。

停止に依存する場合、第 2 のデバイス上の選択したアクティブモニタが停止状態の場合のみに、デバイスのポーリングを行う規則を確立します。デバイスは、依存関係があるデバイスの "前" にあるものと考えることができます。前にある依存デバイスは、後のデバイスが停止していない限りポーリングされません。

例

この例では、ネットワークセグメントにデバイスのグループがあり、それぞれのデバイスに他のデバイスとの接続上の依存関係があります。これらの各デバイスには、デバイスの状態を判断するために使用する Ping モニタがあり、Ping (デバイス) と示されています。他のネットワークセグメントからホスト A に Ping できると、ルーター R およびスイッチ N は稼働中で使用できると見なすことができ、ホスト A が稼動している場合はこれらのデバイスに個別の Ping モニタを行うことにより不必要なオーバーヘッドが発生します。しかし、ホスト A の電源がオフであるか、Ping モニタからホスト A に到達できない場合は、Ping (スイッチ N) および Ping (ルーター R) モニタを使用してこれらのデバイスが稼働中でアクセス可能であることを確認する必要があります。

DownDependenciesExample1

[停止に依存:ホスト A (Ping モニタ)] と示されるホスト A の Ping モニタに対するスイッチ N の停止に依存、および [停止に依存:スイッチ N (Ping モニタ)] と示されるスイッチ N の Ping モニタに対するルーター R の停止に依存を追加すると、ネットワークセグメントを監視しセグメントが完全に使用可能なときにセグメント上で操作する必要のあるアクティブモニタを減らす、依存関係のチェーンが作成されます。

DownDependenciesExample2

これらの依存関係を追加すると、[Ping (ホスト A)] が停止状態になった場合、スイッチ N の停止に依存により WhatsUp Gold はスイッチ N のポーリングを開始します。スイッチ N のポーリングが正常に行われた場合、ホスト A が復旧するまでこのポーリングが続行されます。しかし、スイッチ N も到達不能で [Ping (スイッチ N)] が停止状態になった場合、ルーター R の停止への依存により WhatsUp Gold はルーター R のポーリングを開始します。[Ping (スイッチ N)] が稼動状態に戻ると、ルーター R のポーリングは行われなくなります。同様に、[Ping (ホスト A)] が稼動状態に戻ると、スイッチ N のポーリングは行われなくなります。

停止に依存と "見せかけの稼動" 状態

デバイスが停止に依存する場合、依存デバイスのモニタが実際の状態にかかわらず稼動中であることを示す "見せかけの稼動" 状態を招く場合があります。

この状態は、依存デバイスが非アクティブな状態にあり、デバイスの Ping からのエコー要求に応答できる場合に発生します。停止に依存であるため、監視対象のサービスまたはプロセスの実際の状態が不明で失敗している可能性があるにもかかわらず、依存デバイスはポーリングされず "見せかけの稼動" になります。

依存システムの例として、アクティブなサーバーの停止に依存する高可用性 (HA) データベースクラスタをサポートするパッシブまたはスタンバイサーバーがあります。スタンバイサーバーのデータベース管理システム (DBMS) が再起動できなかった場合、アクティブサーバーで不具合が発生しスタンバイサーバーのポーリングが行われるまで、WhatsUp Gold にはこの不具合が表示されません。

依存関係の読み取り

依存関係が想定どおりに適用されることを確認するために、依存関係を "読み取る" 方法がいくつかあります。

[デバイスのプロパティ] ダイアログで依存関係の説明を確認します。
[マップ表示] で依存関係の矢印を読み取ります。

上記のマップには、複数の稼動に依存および停止に依存が表示されています。緑色の矢印は稼動に依存を、赤の矢印は停止に依存を示しています。

"背後" と "前" という用語を使用して、マップの矢印に従い、依存関係を読み取ることができます。たとえば、サーバーの依存関係は、"スイッチが稼動している場合のみサーバーをポーリングする" と読み取れます。サーバーはスイッチの背後にあり、スイッチもポーリングに応答する場合にのみポーリングされます。スイッチが停止した場合は、サーバーは使用不可と見なされ、ポーリングは行われません。サーバーが使用不可であるため、サーバーの状態は [不明] に変更されます。

もう 1 つの例として、ファイアウォールへのルーターの依存関係は、"スイッチが停止している場合のみ、ファイアウォールをポーリングする" と読み取れます。ルーターとファイアウォールの間で通信障害が発生した場合、スイッチはファイアウォールに対して停止に依存であるため、[停止] に変更されます。スイッチが停止すると、サーバーはスイッチに対して稼動に依存であるため、サーバーの状態が [不明] に変更されます。次に、スイッチが停止であるため、ファイアウォールのポーリングが行われ、停止状態に変わります。ファイアウォールが停止したと見なされた後、ルーターのポーリングが行われます。